「可能性に賭ける決意と覚悟」
今年20年ぶりに人吉球磨中学生大会を制し、県大会に出場した多良木中男子バスケットボール部。司令塔としてチームを牽引した前田慧也くん(15)に話を聞いた。身長166センチと小柄ながら、運動能力の高さとフィジカルの強さで、他校の有望選手を圧倒し注目を浴びた。「負けず嫌いの性格でファイトマン」と指導者の西村教諭が話す通り、高身長相手とのマッチアップにも物怖じしないなど攻撃的なプレースタイルが持ち味。また走力もあり、ゲームをコントロールできる冷静さも合わせ持つ。レベルの高い大会に出場したことにより「自分に足りない部分がはっきりした」「もっと体を強くし当たり負けしないようにしないと」と語る。
来春より熊本市の強豪校への進学を目指し、日々の自主練に汗を流す。「自分の持ち味を最大限活かせる学校に行きたい」と自分を熟知し進むべき道を選んだ。親元を離れ、自律心の向上と技術取得への意気込みにも意識が高い。「今まで好きなようにやらせてくれた両親に感謝したい。高校では身の回りの事も全て自分で行い、親の有難味も感じないと」と少しハニかんだ笑顔で話した。
小さな体格だが、しっかりと前を見据えた表情に大きな『決意』と『覚悟』が読み取れた。当面は高校に向け走り込みや体作りといった『基礎』をみっちりこなし「自信をもって進学したい」と言う。
技術指導にあたる一門教諭も「間違いなく上でやっていける選手。ハンドリングなど課題はあるが周りを見れる『目』と走れる『足』がある」と太鼓判を押し「これからが重要」と語る。体格のハンデをランプレーでカバーし「走りまくります」と笑顔で話した。全国の舞台のコートに立ち「迷惑をかけた分プレーする姿で恩返ししたい」とアスリートらしい考えで思いを話してくれた姿に共感を得た。高校バスケットボール界の憧れの聖地、東京体育館センターコートで活躍する前田くんを是非見てみたい。