「競技生活で得た経験を次のステップへ」
10月に行われた愛媛国体(カヌー競技)に出場した湯前町の椎葉懸生さんが、カナディアンシングルで8位入賞を果たした。県高校総体カナディアンシングル・ペア・フォアでいずれも優勝しインターハイ出場。九州高校総体でもペア優勝など数々の好成績を残し、伝統校の強さをいかんなく発揮した。高校生活最後の大会となった国体では惜しくも優勝を逃したが、全国にその名を広めた。
身長178cmと体格にも恵まれ、長いリーチを生かしたダイナミックなパドリングが持味の椎葉さん。幼少期に町のカヌー教室に通ったのがキッカケで競技を始め、町の電光掲示板に出る先輩達の活躍に憧れ、球磨工業高校への入学を決意。入学当初は体も硬く、種目変更も余儀なくされたが、厳しいトレーニングや食事管理、なによりも負けん気の強さでメキメキと力をつけ頭角をあらわした。「厳しい練習に負けない体力が付いたことが大きい」と話し、2年生時の九州新人戦でペア優勝し、「より全国が身近になった」と振り返った。昨年、一昨年とインターハイフォア2連覇中の先輩達の記録を、「自分達の年代で途切れさせるわけにはいかない」と、よりプレッシャーを受け続けてきたことも事実だ。
山形県で行われたインターハイでは、台風の影響を受け思う様な結果が出せず3連覇の夢はついえた。「ハイプレッシャーの中でもしっかり結果を出せる精神力が足りなかっただけ。後輩達は、それを感じたはず。来年リベンジして欲しい」とエールを送った。国体では球工の御家芸種目(カナディアンフォア)は無くシングル・ペアのみの出場だったが、予選から体調を崩し悪天候にも左右され、本来の実力とまではいかない成績だったが、それでも入賞を果たし面目を保った。十分な結果だ。
「厳しいことに耐える事、つらい事を乗り越える精神力を学んだ。今後の人生に役に立つと思う」と話した。競技は高校までと決めていた椎葉さん。競技とは離れるが、「良き社会人になる為の教えをカヌーから教わった。」の言葉に、学生スポーツの本来あるべき姿を見た。