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新聞記事を楽しむ36

~巧みな家庭料理~

3月5日の昼休み、「昨日の夕御飯の料理は何でしたか」と尋ねると、「母の巻いた寿司に、こんにゃく、揚げ豆腐、椎茸、竹輪、昆布、大根の煮しめと菜の花の吸い物でした」、「お母さんの手料理は三日のひなの膳ですね。季節がありますね。美味しかったでしょう」、「はい、美味しいかったです」、「料理が上手で素敵なお母さんですね。料理はおいしさを作る人の心づかいからと言われますからね」と心温まる料理の話をしながら、料理は家庭に育つもので、こうしなければならないという型はないけど、ヒントは必要なんだと改めて気づいた。

また我が家庭では、「ゆず酢に旬の椎茸や三つ葉を混ぜ合わせ、薄焼き卵を細かく切り、器に金糸卵をのせて、山椒の木の芽を添えた押し寿司でした」と紹介した。この料理は、『おいしさの原点は、ごちそうでもお惣菜でも、最善の材料を選んだ上は、あついものはあつく、冷たいものは冷たくたべさせようとする心づかいにあると言ってよいのです。料亭の料理は優れていて家庭の料理はまずいというような先入観を捨て去っていただきたい』とはじめに書かれていた。そして四季を通じての季節感や、生活行事、材料の旬によりながら収録された、 【日本の料理六巻の―春の味】の本に紹介されていたひなの祝い膳の一つで、一勝地曲げ師の淋さんの寿司押し型を使いたい思いから妻に申し出た料理だった。

また、2月23日の新聞文化面に、人類学者の川田順造さんが「『文化の三角測量』と名付けられ、人間と道具の関係を『フランス人は、誰でも同じ良い結果を得られるよう、道具を工夫する。日本人は簡単な道具を巧みさによって多目的に使う。西アフリカの黒人は長い腕をくわの柄の代わりにしたり、ろくろを用いずに人が土器の周りを回って成形したり、身体を道具化させる」の記事が印象深く残っていた。今日は、巻き簀(す)で作る家庭寿司の話しを聞き心が和んだ一日だった。

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