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新聞記事を楽しむ58

~お茶と椿からつれづれに~

張り替えたばっかりの障子に、爪痕でぽっかりと穴を開けた犯人であろう、三毛のハナが、横に長く寝そべっている。その隣でお茶を一服しながら、正月に生けた壁花入れの一輪の椿を眺め、椿の生い立ちや原産地など思いを馳せた。普段は気づいていないが、正月に使う赤い実の縁起の花木や、農耕儀礼の月見のサトイモやススキなど、生活の節目に四季折々の植物が結び付いている。日本には生活と植物、つまり人は自然の中で生きていることを伝える伝統文化が、今に続いている。そして植物を人類以前の地史の生き証人として、環境の指針として残し続ける義務を感じた。ちなみに夏目漱石は全集に262種類を、万葉集では163種類、源氏物語には111種類の草木が取り上げられている。また、お節料理では、黒豆、栗金団、昆布巻など、持続が可能な伝統的な日本食を再認識させられた。

一方、新聞は「イラン旅客機撃墜、176人全員の死亡事件やオーストラリアの森林火災で数万匹のコアラが焼死し、2016年時点で33万匹が生息していたコアラが、10万匹を切っている。また、水温上昇の影響で2019年の全国のサンマ水揚げ量が前年比66%減の4万517トンだった」など、犯罪や課題の解決を我々に投げかけているようだ。収益と費用だけ考えた利益至上のビジネスでいいのか。AIの積極的な活用の情報至上だけでいいのか。優しい社会の礎になっているのか。新しい文化やテクノロジーが入ってくることで伝統文化が薄らいでいくことを容認していいのか。「本当にこれでいいのか」と。

東北大学川島隆太教授は「初めてこんなに広範な領域に悪影響が出るものに出会いました。子どもたちの記憶の能力自体にマイナスの影響が出ていると予測されます。極端な話ですけれども、法律によって18歳まではスマートフォンを1時間以上使ってはいけないと、強制的におさえてあげるほうが、未来にとっては幸せであろうと考えます。」と指摘している。つれづれな一日だった。

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